「結婚したら、今の仕事を続けられるんだろうか」
「相手の住む街に引っ越したら、また一から仕事を探さないといけないの?」
「障害者雇用の契約社員でも、産休や育休って取れるの?」
障害者雇用で働きながら婚活をしている方から、こうしたご相談をよくいただきます。ようやく体調と仕事のバランスがとれてきたからこそ、結婚によってその土台が崩れてしまうのが怖い・・・
そんなお悩みを抱えていませんか?
結論からお伝えすると、結婚後も障害者雇用で働き続けることは十分に可能です。
ただし、引っ越し・転職・妊娠出産といった「環境が変わるタイミング」には、知っておかないと損をするポイントがいくつかあります。
この記事では、障がい者専門の結婚相談所のカウンセラーが、結婚後の働き方のリアルを制度面と実践面の両方から解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
- 結婚しても障害者雇用の立場は変わらない
- 結婚前にパートナーと話し合っておきたい3つのこと
- 引っ越しが必要になったときのリアル
- 転職するなら知っておきたいこと
- 産休・育休は障害者雇用でも取れる?
- 妊娠・出産期に気をつけたい体調と職場への伝え方
- 共働きを続けるための夫婦の工夫
- まとめ
結婚しても障害者雇用の立場は変わらない
まず安心していただきたいのは、結婚したことを理由に、障害者雇用での雇用契約が変わることはないという点です。障害者手帳も結婚によって失効するものではありません。
結婚後に会社へ行う手続きは、基本的に一般の社員と同じです。
- 氏名変更・住所変更の届出
- 通勤経路が変わる場合の通勤手当の変更
- 配偶者を扶養に入れる場合(または自分が扶養に入る場合)の手続き
さらに、2026年7月からは民間企業の障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%に引き上げられ、雇用義務のある企業も従業員37.5人以上に広がりました。企業側にとって、経験を積んだ障害者雇用の社員は「辞めてほしくない人材」です。結婚を機に辞めなければならないと思い込む必要はありません。
問題になるのは結婚そのものではなく、結婚に伴って起こる「引っ越し」「転職」「妊娠・出産」です。ここから順番に見ていきましょう。
結婚前にパートナーと話し合っておきたい3つのこと
働き続けられるかどうかは、制度よりも夫婦での事前のすり合わせで決まる部分が大きいです。婚活中、遅くとも婚約までに次の3つは話しておくことをおすすめします。
どこに住むか
お互いの職場の場所、通勤時間の限界、通院先の病院との距離。特に体調管理のために通院を続けている方は、主治医を変えずに済む範囲で住めるかどうかが大きなポイントになります。
今の仕事を続けたいか
「今の職場は配慮が手厚いので絶対に続けたい」「結婚を機に働き方を見直したい」など、自分の希望をはっきり伝えましょう。相手に転勤の可能性があるかどうかも、このタイミングで確認しておくと安心です。
子供についての考え
子どもを望むかどうか、望む場合はいつ頃か。これによって、産休・育休の取り方や、家事育児の分担の考え方が変わってきます。
ハグムでは、こうした「言いにくいけれど大事な話」を交際中にどう切り出すかも、カウンセラーが一緒に考えています。一人で抱え込まず、第三者を間に入れるのもひとつの方法です。
引っ越しが必要になった時のリアル
結婚に伴う引っ越しは、障害者雇用で働く方にとって一番のハードルになりやすいところです。
<通勤できる範囲なら「今の職場を続ける」が第一候補>
今の職場で配慮を受けながら安定して働けているなら、それは大きな財産です。新しい職場で一から信頼関係や配慮を築き直すのは、想像以上にエネルギーを使います。
通勤時間が少し延びる程度であれば、まずは今の職場に通える範囲で新居を探すことを優先して考えてみてください。通勤時間が長くなる場合は、時差出勤や在宅勤務の日を増やせないか、会社に相談してみる価値があります。
引っ越し後に必要な手続き
市区町村をまたいで引っ越す場合は、次のような手続きが必要です。
- 障害者手帳の住所変更:新しい住所の市区町村の障害福祉窓口で手続きします
- 自立支援医療(精神通院医療)の変更:通院先の病院が変わる場合は、指定医療機関の変更手続きが必要です
- 主治医の変更:転院する場合は、今の主治医に紹介状(診療情報提供書)を書いてもらいましょう
特に通院先を変える場合は、引っ越しの1〜2か月前には主治医に相談しておくと、薬が途切れるなどのトラブルを防げます。
転職するなら知っておきたいこと
遠方への引っ越しなどで転職が必要になった場合も、悲観する必要はありません。
障害者雇用の求人は増えている
前述のとおり、法定雇用率の引き上げで障害者雇用の対象企業は増えています。特に都市部では、事務職・IT系・特例子会社など、選択肢は以前より広がっています。
転職で使える窓口
- ハローワークの専門援助部門:障がいのある方向けの専門窓口で、求人紹介や面接の同行などを受けられます
- 障害者専門の転職エージェント:年収300万円以上の求人や、在宅勤務可の求人を探したい方に向いています
- 地域障害者職業センター:職業評価やジョブコーチ支援などを受けられます
転職のタイミングは「結婚・引っ越し」とずらす
結婚、引っ越し、転職が一度に重なると、生活環境が一気に変わり、体調を崩しやすくなります。可能であれば、新居での生活に慣れてから転職する、あるいは転職先を決めてから引っ越すなど、変化のタイミングをずらすのがおすすめです。
また、後ほど詳しく説明しますが、転職直後は産休・育休の条件で不利になるケースもあります。子どもを望んでいる方は、転職の時期も含めて計画を立てておきましょう。
産休・育休は障害者雇用でも取れる?
答えは「取れます」。産休・育休は法律で定められた制度なので、障害者雇用かどうかに関係なく利用できます。ただし、雇用形態や働く時間によって条件が変わるので注意が必要です。
産休(産前・産後休業)
産休は、正社員・契約社員・パートなどの雇用形態に関係なく、すべての働く女性が取得できます。
- 産前休業:出産予定日の6週間前から(双子以上は14週間前から)、本人が請求すれば取得可能
- 産後休業:出産の翌日から8週間は原則として働くことができません
育休(育児休業)
育休は、原則として子どもが1歳になるまで取得できます(保育園に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長可能)。男性も取得できます。
契約社員など期間の定めがある雇用の方も、子どもが1歳6か月になるまでに契約が満了して更新されないことが明らかでなければ、育休を取得できます。障害者雇用では契約社員として働いている方も多いので、ここはぜひ覚えておいてください。
ただし、会社によっては労使協定で「入社1年未満の人は対象外」としている場合があります。転職直後に妊娠・出産を予定している方は、入社前に就業規則を確認しておきましょう。
<お金の面>育児休業給付金の注意点
育休中は、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。支給額は休業前の賃金の67%(休業開始から181日目以降は50%)です。育休中は社会保険料が免除され、給付金は非課税なので、手取りで見ると休業前の8割程度になります。
さらに2025年4月からは、夫婦ともに子どもの出生後の一定期間内に14日以上の育休を取ると、最大28日間は給付が上乗せされ、手取りで実質10割相当になる「出生後休業支援給付金」も始まっています。
ここで障害者雇用で働く方が特に注意したいのが、雇用保険に加入しているかどうかです。
育児休業給付金は雇用保険に加入している人が対象です。週の所定労働時間が20時間未満の短時間勤務の方は雇用保険に入っていないことがあり、その場合は育休を取れても給付金が受け取れません。
「自分は雇用保険に入っているか」は、給与明細の控除欄で確認できます。子どもを考えている方は、一度チェックしておきましょう。
育休明けも使える制度
- 短時間勤務制度:3歳未満の子どもを育てている場合、1日6時間の時短勤務を申し出ることができます。
- 育児時短就業給付金:2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をして賃金が下がった場合、時短中の賃金の10%が支給されます。
- 子の看護等休暇:子どもの病気や予防接種、学校行事などで休暇を取ることができます。
妊娠・出産期に気をつけたい体調と職場への伝え方
服薬中の方は妊娠を考えた段階で主治医に相談を
精神疾患などで薬を飲んでいる方は、妊娠がわかってから慌てるのではなく、妊娠を考え始めた段階で主治医に相談することがとても大切です。自己判断で薬をやめると、体調が大きく崩れることがあります。主治医と産婦人科の医師が連携しながら進めるのが理想です。
職場には「早めに・具体的に」伝える
妊娠がわかったら、安定期に入る前でも、体調への配慮が必要であれば早めに上司や人事に伝えておくと安心です。障害者雇用で働いている方は、すでに配慮の相談をする窓口がある場合も多いので、そのルートを活用しましょう。
伝えるときは、「つわりで朝がつらいので、出勤時間を遅らせたい」「通院日を確保したい」など、具体的にどんな配慮があると助かるかをセットで伝えると、職場も対応しやすくなります。
産後の体調の波にも備える
出産後はホルモンバランスの変化や睡眠不足で、心身ともに不安定になりやすい時期です。もともと精神面の持病がある方は、特に産後のケアを手厚くしておく必要があります。パートナーの育休取得や、実家・行政の産後ケア事業なども含めて、出産前にサポート体制を整えておくことが職場復帰をスムーズにする一番の近道です。
共働きを続けるための夫婦の工夫
家事は「得意・不得意」と「体調」で分ける
半分ずつきっちり分けることにこだわる必要はありません。疲れやすさや特性に合わせて、「料理は相手、洗濯と掃除は自分」のように、得意なことを担当するほうが長続きします。体調が悪い日のための「最低限これだけやればOK」というルールを決めておくのもおすすめです。
世帯年収で考えると、選択肢が広がる
障害者雇用で年収300万円以上あれば、共働きの世帯年収はしっかりした水準になります。一人では難しかった住宅購入や、子育ての計画も現実的に考えられるようになります。逆に、体調によっては「どちらかが少し働き方をゆるめる時期」があってもいいと、最初から話しておくと気持ちが楽になります。
障害についてパートナーに知っておいてもらう
結婚後に働き続けるうえで、一番の味方はパートナーです。疲れのサインや、調子が悪くなる前兆を共有しておくと、無理をする前に気づいてもらえます。ハグムで成婚された方の多くも、交際中から「自分の取扱説明書」をパートナーと共有されていました。
まとめ
結婚後も障害者雇用で働き続けることは、十分に可能です。この記事のポイントをおさらいしましょう。
- 結婚しても障害者雇用の立場や障害者手帳はそのまま。会社への手続きは一般の社員と同じ。
- 住む場所・仕事を続けたいか・子どもについての考えは、婚約までにパートナーと話し合っておく。
- 引っ越しは「今の職場に通える範囲」を第一候補に。手帳や自立支援医療の手続きも忘れずに。
- 転職するなら、結婚・引っ越しとタイミングをずらして体調の負担を減らす。
- 産休・育休は障害者雇用でも、契約社員でも取得できる。ただし育児休業給付金は雇用保険の加入が条件。
- 服薬中の方は、妊娠を考えた段階で主治医に相談を。
「結婚したら仕事を失うかもしれない」という不安から、婚活に踏み出せずにいる方は少なくありません。でも、正しい情報を知って準備をしておけば、仕事も結婚もあきらめる必要はないのです。
障がい者専門の結婚相談所ハグムでは、お相手探しだけでなく、結婚後の働き方や生活設計まで見据えたサポートを行っています。「今の仕事を続けながら結婚できるか不安」という方も、まずはお気軽に無料相談でお話をお聞かせください。
